宇検だより– category –
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タケノコ取りの翁<おきな>
2021-04-12 この季節は気持ちがざわつくのである。すれ違う女性の髪が春風になびいたためではなく、満開の桜にえびおじさんの俳句心が動かされたわけでもない。実はソメイヨシノの季節は、えびおじさんの小さな山のタケノコの季節でもあるのだ。 えびおじ... -
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啓蟄
3月5日は啓蟄だった。地中の虫が目覚めるときである。人間たちもそろりそろりと活動を始める。春の暖かさはありがたい。年齢のせいか夏の暑さと冬の寒さがつらい。好きなのは春と秋。しかし温暖化のせいか暑い時期が長くなり春と秋が短くなっている。その... -
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新型コロナで変わったこと
2021-02-19 令和はもう3年になったのか、との感慨しきりである。ふり返ると令和元年は短かった。令和2年はきちんと12カ月あったが、新型コロナに脅かされっぱなしで、気持ちは急いているのに単調な日々だった。良い思い出は多くない。記憶や記録に残る1年... -
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賀状雑感
2021-01-18 年賀状書きはいつも戦争である。紅白歌合戦を横目に最後の追い込みだったり、はたまた、越年したりだ。しかし今季は手をつけるのが早かったために年内に勝負をつけることができた。 いただいた賀状の文面は「コロナを乗り越えて」や「今年もよ... -
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宇検村の四季
2021-01-05 宇検村は奄美大島の南西部に位置する。村の真ん中に細長い焼内湾を抱き、湾を囲むように、奄美で一番の高さを誇る湯湾岳などの山々が連なっている。湾は西の方で東シナ海につながっている。焼内湾と山々の間に14の集落があり人口は合わせて1600... -
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耳が痛い
2020-12-26 いつの時代も年長者は若者の将来を慮って教訓を授けるものである。えびおじさんも子どもの頃に親からさんざん注意を受けた。 済んだことは忘れて、次のことを早くしなさい 鹿児島弁で「すんだことをゆな、さっのことはわからん、はよせっ」とい... -
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IT不安で、新聞ファン
2020-12-09 新聞を広げてコーヒーを呑む。ラジオの音楽は懐かしい昭和のポップス。日曜日の朝のえびおじさんの至福のひとときである。流れる時間は、あるかないかのゆったりさだ。読むというか眺めるというか、えびおじさんは新聞をめくる。今朝の1面トッ... -
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戦争を知らないおじさんたち
2020-11-13 「戦争経験者が少なくなり、これからは戦争を知らない世代が戦争の悲惨さを伝えていかねばならない」と新聞やテレビが報じている。 いずれ、こういうことになると思っていたが、はたしてどうだろう。伝えていかねばならないとは思うが、伝える... -
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妄想と海
2020-10-29 海辺に流れ着くのは「椰子(やし)の実」と相場が決まっていた。しかし、それは昔のこと。今、浜辺に打ち上げられるものは、椰子の実とともに、じつにさまざまな人工物である。 今朝、宇検村の海岸を散歩してみた。東シナ海に面している海岸だ... -
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名月に照らされて
2020-10-21 10月1日の中秋の名月はすばらしかった。例によって、宇検集落の知り合いのお宅の庭で、男たち4人、ビールを呑みながらの月見である。 午後8時頃、酒盛りはすでに焼酎に代わっている。雲ひとつない爽やかな空気の下、今かいまかと東の空を眺めて... -
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奄美 甘みの潮風 <Ⅱ>
2020-09-24 前回に引き続き、虫愛づる姫 R子さんによる第2弾である。 2日目の、8月11日の夜は、奄美在住のKさん(鹿児島昆虫同好会の会員)から「ナイター(灯火採集)」の誘いがあった。共通の知人であるNさんら数人にも声をかけ、宇検村の須古<すこ>... -
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奄美 甘みの潮風 <Ⅰ>
2020-09-07 小学時代の夏休みの日記に「今日は気温が30度まで上がって、とても暑かった」と書いていた記憶がある。ということは、昭和30年代の鹿児島の夏の最高気温は、まず28~29度前後で、30度になることが珍しかったということになる。今や、このレベル...