2022.12.08
すごい人がいるものだ。大谷翔平選手も勝みなみ選手も凡人には手の届かない存在だが、えびおじさんの知り合いのSさんもそんな人である。今年40歳のSさんは、生まれてこの方、歯医者さんに一度もかかったことがないというのだ。いや、1度はあるのだが歯の治療のためではない。口内炎ができたので、口の中のことだからと、よく分からないまま歯科医院を訪ねたという。しかし予約制だったため、また、さほど重篤でもなかったので翌日に延ばされたそうである。
歯科医院に行く必要がないというのはなんと幸せなことだろう。もちろん、長いこと通ううちに優しい歯科衛生士と親しくなりめでたく・・・・ということも世の中にはないではないだろう。が、えびおじさんは子供の頃の治療の苦痛の記憶があるためかどうしても敬遠しがちである。
Sさんの歯を見せてもらった。誠に、まことに、マコトニ立派な歯並びである。1本の毀損(きそん)もなく加工した痕跡もない。「いやあ、すばらしい」という感嘆の気持ちとともに、羨望とも嫉妬ともつかぬ感情が沸き起ってきた。「経済的、時間的にもずいぶん得な人生だな、Sさんは!」である。「経済的には」とは、もちろんお金のことで、えびおじさんの場合は積年の治療費はいったいいくらになっているだろう、現在も進行形である。時間的な損害もばかにならない。そして、あの痛み、休日に限って痛くなりそうな予兆。「嗚呼、歯に悩みを持つ人の繊細な気持ちはSさんには分かるまい、どんなものだ!」と感情が高ぶって腸捻転を起こしてしまいそうだ。
いったいどんな生活を送れば虫歯が1本もないのだろうか。Sさんによれば、特に気をつけているようなこともなく普通の生活ぶりとのこと、歯磨きは1日に2回である。むしろ少ない。
Sさんは赤ちゃんの頃から全く歯に異常がなかったようだ。語るところでは、親が自分の使った箸やスプーンで食べ物を口に運んでくれたことが一度もなかったとのこと。親の愛情が足りなかったということではなく、虫歯菌はそのようにして移動するということを心得ていたのである。それが良かった。
専門的なことは知らないが、スプーンで食べ物を口に入れてあげることで虫歯菌が移るものなのだろうか?にわかには信じ難い。諸説ありと言ったところか。
ご家族はどうだったのだろうか、Sさんの妹さんは小さい頃から歯科医院に通っており、ご両親もそのようだ。遺伝的なものではなさそうである。再び頭を悩ますことになる。
Sさんは「自分は菌やウイルスに強いのでは」と自己分析する。風邪をほとんど引いたことがない、インフルエンザワクチンも打ったことがないそうである。一方で、小さい頃から甘い飲み物は好まず、お茶や水が大好きという渋い子供だったそうである。であれば、詰まるところ、Sさん自身の体質や食生活ということになるのだろうか。また、睡眠時間は8時間とよく眠るのだそうだ。
歯医者さんの話では、Sさんのような頑健な歯を持つ人がごくまれにいるそうだ。天が授けた素晴らしいプレゼントである。こういう体質はぜひ遺伝してもらいたい。Sさんは、そうなるように、毎日、子供さんの口の中を眺めている。
来年の主役のウサギさんは、ニンジン、キャベツなどの菜食主義者<?>だから虫歯がないのかもしれない? <えびおじさん>