今から50年ほど前、千葉県の松戸市役所に「すぐやる課」なるものが登場した。この珍妙とも思える名前は、決してスローガン的なものではなく実務を担う現実の「課」である。いったい何をするセクションかと当時はかなり話題になったと記憶する。
設立の目的は「すぐにやらなければならないもので、すぐやり得るものは、すぐにやります」というもので、きわめて当たり前のことながら、当時は「画期的」なことだった。例えば、庭のハチの巣を取り除いて欲しい、道路に動物の死骸があるので何とかしてもらいたい等々の住民からの要望に即座に応え、評判が良かったようである。プライベートなことには立ち入らないが、助言はするとのことであった。
あらためて松戸市役所のHPを開いてみるとこの課は今も健在である。そして、名称は異なれど、この手の課が全国の自治体に広がっているようだ。総人口に占める高齢者の割合が増大している現在の日本である。助け舟としての役所を特に頼りにしているのはお年寄りかもしれない。
さて、さて、話はそんな真面目なことではない。「すぐやる課」に触発されたわけではないのだが、今のえびおじさんにとって大切なのは「すぐ、やろう」なのである。
どうして、そういうことに思い至ったかというと、近頃、とみに物忘れが激しく、思いついたことはすぐにやってしまわないとどこかに行ってしまうのである。「はて、さっきのあれは何だっけ?」ということが日常になってしまった。記憶力が悪い、いやいや、そうではなくて、ちゃんと記憶するのだが、記憶の持続力が良くないのだ、と、えびおばさんに強弁する始末である。ただ、現実は「覚えられない」「思い出せない」「すぐ忘れる」の3拍子そろっての日々である。
「すぐやろう」の代表的?な例を披露すると、明日の仕事に必要な物を、夜であれさらに深夜であれ、思いついたその都度、玄関に持って行くのである。忘れ物をしないための苦肉の策なのだが、若い人からは笑われそうである。
メモもそうである。脳みそにヒラメキ💡があったら夢の最中でも布団から這い出して「記憶より記録」とすぐにメモ用紙に向かう。こうでもしないと、素晴らしい?アイデアも翌朝には雲散霧消しているのである。
えびおじさんにとって「あとでやろう」は禁句である。子供の頃、父親から「後からやろうなんて魂胆は、結局、しないことと同じだ!すぐやれ」としつこく厳しく言われたものだ。でも、なかなかそうはいかず、自己弁護を繰り返し、先送りの癖は治らなかった。言われた通りにきちんと実践していれば今ごろは・・・・と後悔してもtoo late<あとの祭り>である。
しかし、よくよく考えれば「すぐやる」というのは人生の王道かもしれない。早くやった分だけ次のステップが近づいてくるのだから。「思い立ったが吉日」はえびおじさんのための教訓だったのである。時は人を待たず、人はそのうち歳を取ってしまう。これも中学校で教わった。
さて、溜まっていた事務処理を早くやろう、早くやらないと午後は暑くなる。何よりも、この歳になっては根気が続かない。とかなんとか、台風一過の朝である。
奄美名物 油ゾーメン