2021-06-08
断捨離というわけではないが、部屋の整理をしていたら古い新聞が出て来た。平成25年<2013年>1月30日。8年くらい前の新聞はさほど古いとは言えない。ついこのあいだの、といった感じだ。なにげなく開いてみた。
新型コロナ関連の記事がひしめく昨今の新聞に比べれば穏やかな内容である。1面トップは来年度予算の政府案が決定したこと。1月といえばそういう時期なのだ。ページを繰っていく。さほど期待も成果もなかったアベノミクスの文字が躍っている。アメリカはオバマ政権である。野球のWBC3連覇に向けて楽天の田中将大が入念に調整しているという記事も。このころはまだ楽天に在籍していたのだ。
森羅万象、さまざまなできごとに彩られた日常だったようだ。と、懐かしく眺めていたら現在に直結する記事に出くわした。わずか3段ながら「新型インフルエンザで使用制限を要請できる」という見出しで、この数か月後に施行される「新型インフルエンザ対策特別措置法」に反映させる有識者会議の中間報告のようだ。
記事によれば「劇場などの施設の任意の使用制限を要請できる」「国民の45%相当量の抗ウイルス薬の備蓄をめざす」「予防接種の優先順位」などが今後の指針として中間報告に盛り込まれているという。
どこかで聞いたような話だと思っていたら、今まさに混乱の元凶となっていることばかりではないか。一応、指針はできていたのだ。しかし、具体的なことはどうしたのだろう。45%相当量の抗ウイルス薬というのはワクチンのことだろうか。
平時の話し合いだから「ことが起きたらその時にまた協議しましょう」で終わっていたのかもしれない。今回の新型インフルエンザの発生は想定することもなくオリンピックも念頭になかったのだろう。小さいながらも偶然見つけたこの記事は、現在の状況に警告を与える、先がけのような気がしてならない。
現在につながる記事と言えば、同じ新聞に「尖閣接続水域に中国公船3隻」が載っている。これもほんの小さな記事だが、今では看過できない大変な状況になりつつある。中国を睨んだ南西諸島防衛網が着々と整備されつつあり馬毛島も揺れ動いている。オスプレイが奄美大島に頻繁にやって来るのもうなずけようというものだ。尖閣問題も含め、超大国中国と対峙してアメリカを中心とする西側諸国との関係は一触即発の状態になってしまった。この緊張関係が報道されない日はないくらいである。戦後生まれで平和が当たり前のえびおじさんにとって戦争というものがすぐ隣にあるような感覚に陥ってしまう。
最近の記事で気になるのがヤングケアラー問題だ。恥ずかしくも、最近になってこの言葉を知った。子どもたちが自分の時間を削って、親や祖父母の介護、兄弟姉妹の面倒をみているという。睡眠時間も少なく学校も満足に通えないなど問題になりつつある。背景には核家族など家族構成の変化があるようだ。確かにえびおじさんの子どもの頃は3世代同居で祖父母の面倒は親がみており、自分のことで精一杯のえびおじさんは外で遊び回っていた。この健気な子供たちには頭が下がる思いだ。将来に向けて、子供たちの間に格差が生まれないことを祈りたい。
小さな記事は将来の大きな問題の前触れである。大きな記事ももちろんだが小さな記事に目を凝らしたい。
<えびおじさん>