数年前のことである。養殖場の屋外の作業場で仕事をしていた女性が「きゃあ!スケベムシが・・・」と叫んだのである。何のことかと近寄って女性に尋ねてみると、小さな虫が女性の耳の中に忍び込んできたらしい。妙齢<?>の女性がこのような言葉を口にしたことにまずビックリした。えびおじさんは自分のことかと思わず身を固くしてしまった。
「スケベムシ」は、てっきり、この地域だけの言い回しかと思ったら全国的に流布している名前という。インターネットによれば、スケベムシの正式な名前は「ヌカカ<糠蚊>」で、ハエの仲間らしい。糠粒(ぬかつぶ)のように小さく、網戸を通り抜けて、気づかないうちに衣服の中に入り込んでくることから「スケベ虫」「エッチ虫」とも呼ばれている、とある。なんとも可哀そうな呼び方をされたものである。当のスケベムシはどう思っているだろうか。「もうちっとましな名前にしてくれ」と嘆いて怒っているに違いない。外国のスケベムシも同様の扱いを受けているのだろうか?
「糠(ぬか)」は微少なものを形容するときに使われるようである。例えば、歌に出てくる「小糠雨(こぬかあめ)」がある。大阪の御堂筋あたりによく降るらしい (^^♪
スケベムシという名前の強烈さもさることながら、ずいぶん前のこのことを思い出したのは、5月に入って徐々に気温が上がってスケベムシが活動し始めたからである。小さな白い粉のような虫がそこいらじゅうに飛びまわっている。本当に小さい。全国各地にいるらしいが、特に奄美大島が挙げられている。
微少な大きさのスケベムシの攻撃力は凄まじい。ただし、痛いというよりは痒いのだ。その時は症状がなくてもしばらくしてかゆみが出てきて、しかも数日間続く。部位によっては赤く腫れて化膿する場合もある。友人は診療所に行くはめとなった。えびおじさんも、体のあちこちに赤い斑点ができている。痒くてたまらない。厄介な虫である。
インターネットにスケベムシへの注意書きがあった。それによると「長袖、長ズボンを身に着け、肌の露出を抑える。刺されても掻(か)かない、水で洗い流す、患部を冷やす」である。全く実行していない。甘く見ていたのである。今となってはIt’s too late<あとの祭り>である。
煙を焚いて対処しているがなかなかしぶとい。蛾(が)が好物であるヤモリにお願いして退治に加わってくれないものか。家を守るように人間も守ってくれればありがたいのだが。
さて、5月18日<木>に奄美と沖縄が同時に梅雨入りした。平年よりも少しゆっくりめだ。奄美の平年の梅雨入りは5月12日、梅雨明けは6月29日である。これからおよそ2カ月間は雨の季節である。今年の雨は小糠雨かもしれない?
気になるニュースがあった。12日<金>の気象庁の発表では、今夏は80%の確率でエルニーニョ現象が発生するという。エルニーニョが発生すると、日本は冷夏となる。太平洋高気圧が強くならず梅雨前線がいつまでも停滞しがちとのこと。このため気温はいつもの夏よりも低めで雨が続くらしい。昨今の暑すぎる夏を思えば朗報かもしれないが、困るところも出てくるだろう。稲などの農作物はもちろんだがビール業界も戦々恐々かもしれない。えびおじさんは暑さ寒さに関係なく吞むのだが・・・
月桃(げっとう)が咲き始めている。この季節の花で「梅雨花」とも言われている。うつむき加減で風情がある。この謙虚さをえびおじさんも学ばねば!
スケベムシは小さすぎて、えびおじさんの撮影技量では無理だった。