活車えび宇検養殖株式会社

宇検だより

「せごどん」を3度も観るか塚元くん

2018-03-02

緋寒桜(2月 宇検村 芦検 あしけん)

「せごどん」を3度も観るか塚元くん

川柳にもなっていないが。塚元君は私の友人である。その塚元君は、NHKの大河ドラマ「せごどん」を3度観るそうだ。同じものをである。日曜日夜8時からの本放送と土曜日の再放送、そして日曜日夕方のBSでの先行放送である。

テレビは、通常、一回きりだ。再放送を設定している番組もあるが少数だ。その再放送も、本放送を見逃した人のためのものぐらいに、私は思っていた。テレビは一回性だと信じてきた私に塚元君の行為は驚きだ。よほど時間にゆとりがあるのか。いやいや、彼も働き盛り、余分な時間はないはずだ。西郷隆盛、そして「せごどん」に惚れこんでいるからだろう。ところで、3度も観て、どこまで楽しめるものなのだろうか。

塚元君に「せごどん」の魅力を尋ねてみると、3つのことを挙げてくれた。「(女性的な見方かもしれないが)生活感が出ている」「ストーリー展開に静と動があり起伏が感じられる。演出がうまい」「映像の色合いがよい。日本人の心に染み入る色である」である。毎回、3度ずつ観るだけに思いが強いのだろう。即座に答えてくれた。分析も鋭い。一回性の私は恥じ入るばかりだ。

確かに、一度観ただけでは見過ごす部分が多く、2回目以降は観かたが深くなる。なにせ、すでに一度は見ているわけだから、ストーリーは分かっている。ストーリー以外の周辺部分にも注意を向けることができる。「登場人物に次の展開を教えてやろうか」てなものだ。3度観ることは、学校の勉強で言えば、「授業」と、それに先んじての「予習」、帰ってからの「復習」だ。これだけやれば100点が取れる。「せごどん通」にもなれるわけだ。勉強も、授業だけの一回性だった私はさらに恥じ入ってしまう。

やはり、というべきか、塚元君は番組への感動を深めるべくインターネットで友人と感想を共有している。そこでは、脚本のこと、役者の間合い、鹿児島弁の言い回しなどにも及ぶという。同様の友人がいるのだ。こうなれば、もう「観る」レベルから「確認」「味わう」の段階にまで昇華しつつあるとも言える。ここまで行けば、もう映画を観るようなものだろう。私も、気に入った映画はDVDで何度も味わう。私の場合は、「サウンドオブミュージック」や「ラヂオの時間」だろうか。ここまで、味わい尽くされる「せごどん」は幸せものだ。

近ごろ、巷(ちまた)に流行る言葉は「そだねー ♪」だ。ピョンチャンオリンピックの女子カーリングで日本選手たちが仲間同士の会話で使った言葉だ。今年の流行語大賞になるか? これから流行りそうな言葉は「じゃっどん」だ。「だけど、そうは言っても」の意だ。私もよく使う鹿児島弁だ。「せごどん」の中で「じゃっどん、吉之助どん!」というふうに頻繁に出てくる。果たして、流行語大賞の女神が振り向いてくれるか?  (文:堀之内)

(追伸)書き終えた原稿を塚元君にチェックしてもらった。そうしたら、電話の向うで、彼が「実は・・・」と言う。「実は、この前、言い忘れたのですが、ハードディスクにも録画してあるんです・・・。年末にまとめて観ようと思ってます」。

私は、嗚呼(ああ)と叫んで、ずっこけそうになった。

奄美はすでに春の装いである。まもなく新緑が芽吹いてくる。

 

 

 

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