活車えび宇検養殖株式会社

宇検だより

おもいがけない質問

2017-08-24

朝のラジオ体操(宇検集落)

ラジオが好きでよく聴いている。夏の甲子園もほとんどラジオで楽しんだ。NHKラジオは、夏休みに「子供電話科学相談」という番組をやっていた。甲子園の野球放送が始まる前まで午前の時間帯に毎日やっていた。大会が終った後もやっているようだ。

番組は、子供たちが科学に関する質問を電話で尋ね、それぞれの専門家が子供たちに分かりやすく答えるというスタイルだ。宇宙や恐竜などに関する質問が次々と飛び出す。大人が聴いても楽しい番組だ。ところが、先日、思いもよらない場面があった。

秋田県の小学2年生の男の子からの「人間はいくつまで生きられるのですか?」という質問だった。老骨に鞭打ちながら60歳代を生きている私は「おっ」と身を乗り出した。ところが、進行役の山田敦子アナウンサーが「どうしてそんな疑問を思ったの?」とやさしく尋ねると、電話の向うから「パパとママに長生きして欲しいから」と答が返ってきたのだ。それまでの科学の世界から、時空を超えてやわらかな世界に包まれてしまった。会ったこともない男の子の顔が浮かんだ。

「子供電話科学相談」への質問としては決して意外な質問ではない。しかし質問の発露が優しい家族愛に根ざしていた。男の子は、きっと両親から愛情深く育てられているのだろう。どういう経緯か分からないが、もしパパとママが死んじゃったらと不安になったのだろう。番組は、生物学的な回答とともに、心根の優しい男の子の姿を私たちに届けてくれた。

以前、誰から聞いたか忘れたが、北国の子どもが理科の授業で「氷が解けたら何になる?」という質問に「春になる」と答えたという話を思い出した。答えの意外性とともに、子どもの持つ素朴な優しさを感じた思い出がある。

話は少し逸れるが、ある識者が「ラジオは最高の映像メディア」と書いていた。何のことかと思われるかもしれないが、音だけが頼りのラジオは、それゆえに聴く方としては大いに想像がふくらむ。そして映像が浮かんでくる。逆説的だが、画(え)のないラジオゆえに、最高の映像メディアたりうるのだ。この番組でも、子供たちの好奇心に満ちみちた質問ぶり、分かりやすく説明しようと工夫を凝らす先生方の表情、山田アナウンサーの包み込むようなやさしさが、ラジオを通して伝わってくる。

3時間ばかりの「子供科学電話相談」を毎日楽しく聴かせてもらった。おしゃまな女の子が、先生方に「(答えの内容にびっくりして)目が丸くなっちゃった」などと、大人顔負けの豊かな語彙力で話すのには、こちらがびっくりだ。また、幼稚園くらいの男の子が別れ際に「お仕事、頑張ってください」と先生方に激励まじりの挨拶をする。おかしくもあったり感心したりもだ。たとえ親が教えたにしても、きちんと先生に挨拶する姿は聴いていて気持ちが良い。こういう子供たちがいるのだから、自分ももっとましな大人にならなきゃとつくづく思うのだ。

宇検養殖場の近くにある久志(くし)小中学校の子どもたちは、もう夏休みの宿題は終えただろうか。青い空、青い海、白い雲、ときおりやって来るスコール。楽しさの条件が整いすぎている。毎日、大きな歓声が聞こえてくる。まだまだ、夏の楽しい思い出作りに励んでいるようだ。

養殖場に遊びに来たキノボリトカゲ

 

 

 

 

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