活車えび宇検養殖株式会社

宇検だより

いつもいつも通るもの

2017-08-07

いつもいつも通る夜汽車、静かな・・・♪

小学校の音楽の授業で習った「夜汽車」である。もともとがドイツ民謡だということは最近になって知った。子供心にも詩情を誘うメロディーで、山の向うの町や、はるか遠くの都会に思いを馳せた。ただ、子供が歌うには、少しばかり情緒が過ぎるような気がした。だからこそ、今でもはっきりと覚えているのだが。

私の場合も、実際に、夜も更けたころ、自宅から数キロ離れた鹿児島本線を走る列車がいた。上りだったか下りだったかは分からない。しんと静まっている中、ずいぶん離れているにも関わらず、レール音がはっきりと聞こえた。かん高い哀愁を帯びた機関車の汽笛が静寂の中から聞こえてくる。「夜汽車」の風景があった。

今、鉄道の主体は新幹線に取って代わり、在来線の列車本数は少なくなったが、深夜ともなると、今でも、貨物列車が長い編成を引っ張って、レール音を届けてくれる。それこそ、いつもいつもである。

線路のない奄美大島の宇検村で「いつもいつも通る」のは夜間飛行の旅客機だ。あともう少ししたら東の空が白んでくるだろうという時間帯に、ひんぱんに旅客機が通過していく。北東方向から南西に向かうのは、北米のバンクーバーやサンフランシスコを出発し、香港や台北などに向かうキャセイ航空や中華航空の飛行機だ。南西方角から北東方角に向かうのは、シンガポールやクアラルンプールあたりから東京や大阪などに向かう飛行機だ。おそらく、なるべく列島沿いに、北上、南下し、到着地の一日の活動が始まる頃に空港に着陸するようにダイヤが組まれているのだろう。逆算すると、この時間に奄美大島上空を通過していくことになる。

飛行機の運航について、というよりも、飛行機そのものにまったく無知だ。そのまったくの素人が飛行機の離発着などについて少しばかり知識があるのは、そういうアプリがあるおかげだ。知り合いが教えてくれたので携帯タブレットに組み込んでいる。それを見ると、地球上を飛んでいるすべての飛行機の様子が分かる。飛行機の現在のスピードや位置、出発時刻や到着時刻などである。

暇な時はそればかり眺めている。すばらしいものを手に入れたと感激し「ほう」とか「そうか」とタブレットの画面を見て唸っていると、妻は「なにがそんなに面白いの?」と聞いてくる。少しばかり軽蔑のまなざしだ。妻はこういったものはなかなか理解してくれない。

でも、これを見ているだけで、行ったこともない国の様子がなんとなく偲ばれるではないか。人々が空港で乗り降りしている姿も目に浮かんでくる。そして、また宇検村の数千メートル上空を「外国」が移動している、と思うと、これまた楽しい。キャビンアテンダントの顔まで思い浮かぶのだ。

飛行機は、山の向こうならぬ、外国に夢を運んでくれる。

(画 延時秀一)

アプリに表示されない飛行機が宇検村上空にもときおり現れる。オスプレイである。現れる時間も方角もまったくお構いなしだ。昼に限らない。真夜中にやって来る場合もある。低空でバリバリと音をたててやって来る。しかもかなりの速度だ。障子が震える。私は戦争の体験者ではないが、戦争につながる一端を垣間見る思いだ。ときどきやってくるオスプレイが、いつもいつもにならないように願いたい。

堀之内

さて、次回こそ、月桃のお嬢さんに登場いただこう?

 

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