活車えび宇検養殖株式会社

宇検だより

ドラゴンの花

2019-08-09

梅雨が明けて、南の島 奄美に、こってりと暑い夏がやって来た。人間はぐったりだ。陽が傾き始めると、男たちは元気を取り戻す。元気の源は黒糖焼酎だ。お湯割りでもロックでもかまわない。焼酎を呑みながら、談義に花を咲かせる。今日を大いに反省し、明日の小さな飛躍を期すのだ。本当に飛躍するかどうかは当人次第だが、とりあえず、毎晩、呑むのだ。呑みすぎて、焼酎にからめとられないことが肝心だ。焼酎は夏の季語である。

暑い夏を待ちわびていた「ドラゴンフルーツ」が花を咲かせ始めた。真っ白の花。月下美人(げっかびじん)と同じく一夜花(いちやばな)である。夕方に咲き始め、朝には萎(しぼ)んでしまう。昼の日差しは苦手なのである。儚(はかな)さゆえか、みごとな大輪である。

写真は、以前ご紹介した「美人画」を得意とする東條鉄郎さんの農園のドラゴンフルーツの花だ。東條さんは、奄美大島の北部に位置する笠利町に住んでいらっしゃる。えびおじさんの「ドラゴン好き」をご存じで、花の写真を送って下さった。

その壮麗さに驚きだ。梅は一輪が似合い、桜はその壮大さに迫力がある。ドラゴンフルーツの花は一つでも目を引くが、この大量さもなかなかみごとである。

ドラゴンフルーツはサボテン科に属し、果実の中身は「赤」と「白」がある。しかし、花や、果実の外見では分からない。果実にナイフを入れて初めてそれと分かるのだ。ただ、両者は花の時期が少しずれていて、7月は「赤」の季節である。8月になると、今度は「白」である。今はまだ「赤」の時期である。

少しずつ知名度は上がってきているとはいえ、ドラゴンフルーツはまだまだ一般的ではない。名古屋に住む私の友人もその存在を知らなかった。しかし、奄美では知らない人はまずいない。季節ともなれば商店や市場に当然のごとくにあふれている。生産する側も、本格的な農家から、おじいちゃん、おばあちゃんが庭先で栽培していたりと、さまざまだ。食べ方もいろいろとで、そのまま皮をむいてだったり、サラダやスムージーにしたりする。「赤」は少し味が濃く、アイスクリームとしての商品も出ている。「白」はきわめて淡白で、えびおじさんの世代にとっては食事時のデザートに最適である。採ってすぐもおいしいが、冷蔵庫で冷やして落ち着かせたのを好む人もいる。このドラゴンフルーツ、栄養の宝庫でもあるらしく、また、美容にも・・・、ということで、収穫の時期を待ちわびている愛好家が多いのだ。

㈱九電工に勤めていた東條さんは8年ほど前にリタイアして島に帰ってきた。それからすぐにドラゴンフルーツを植え始めた。友人のドラゴンフルーツ農園のすばらしさに惹かれてのことだった。東條さんの農園には、今は80本前後が植わっている。1本から10数個が採れるので、ひと夏に約1000個の収穫が楽しめるという。

東條さんには、この時期ならではの仕事がある。それは人間の手による受粉作業である。受粉は蜂などの虫の役目なのだが、花が咲くのは夕方からだから、昼行性である蜂や虫たちにすべてを期待することはできない。念のためにと、人間が作業を施すのだ。一晩限りの花ゆえに毎晩の作業だ。ハブの心配はないのだろうか。ハブは日光を嫌い夜行性である。「今のところ、大丈夫です。」と東條さんは笑う。夫婦による受粉作業は30分くらいだが、月の光を浴びながらの作業はなかなか蠱惑的(こわくてき)ですらある。

花が咲いて1か月後に大きな実となる。先ほど述べたように、花もいいが、えびおじさんは実の方にも大いに関心がある。特に「白」は、1日に何個でも食べる。収穫は8月半ばからだろうか。おじゃましよう。

(文:えびおじさん)

ドラゴンフルーツの花(東條さんの農園)

 

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