活車えび宇検養殖株式会社

宇検だより

しょんぼりベリー

2019-07-31

元はといえば、えびおじさんが悪いのである。ものごとの子細は以下のとおりである。

夜中にトイレに起きた。寄る年波には勝てない。真夜中のトイレはいつものことである。時計の針は午前2時半を指している。トイレを済ませて隣の部屋をなにげなく覗く。なにやらガサゴソと音が聞こえる。灯りを点ける。「駄犬 ベリー」がなにかにじゃれて遊んでいる。遊んでいたと見えたのは、えびおじさんが、バッグに入れていた鎮痛剤だった。ベリーがバッグから取り出したのだ。錠剤を噛み砕いている。錠剤が粉々になって、あたり一面に散らばっている。ベリーは鎮痛剤の箱を咥えている。まだ錠剤が残っていそうだ。慌てて取り上げるが、食らいついて放さない。やっと引き離したが、そのとき左手の指がベリーの歯に当たって少しけがをした。

えびおじさんの指の傷は大したことはないが、心配なのは、ベリーの方だ。人間にとって数錠が適当のものを、体の小さい犬が、数錠、もしくはそれ以上、飲み込んでいるかもしれないのだ。苦(にが)いから、防御本能が働き、飲み込んでいないかもしれない。いや、飲み込んでいないにしても、噛み砕く時に口に残ったものが胃の中に流れていってしまったはずだ。

えびおばさんを起こす。眠そうだが仕方がない。えびおばさんは、確か動物の救急病院があったはず、と新聞で探す。電話するも、残念ながら、テープでの案内である。祝日の夜の対応はしていないらしい。急患が、曜日・時間を問わないのは、人間や動物も同じはずだが・・・ 弱りはてた。そのうち、嘔吐(おうと)が始まった。やはり、胃の中に流れ込んでいたのだ。吐いてくれるからまだマシだ。5回くらいも吐いただろうか。体が小さい分、かなり負担が来ている感じがする。ぐったりとして、ベリーは朝を迎えた。命にどうこうといったことはないようだが、何せ言葉を喋れない。

行きつけの動物病院の開院を待ってさっそく駆け込んだ。休みの日で、さいわい空(す)いていた。血液を採取する。飲み込んだ薬の影響は、血液を調べたら即座に分かるらしい。腎臓など内臓への影響はなかった。飲み込んだ量は大したことはなかったらしい。点滴をし、家でも水分をしっかり取るということで帰宅した。

動物病院に行くのに、私の子供の手を煩わせた。えびおばさんは仕事が入っていた。車に乗せて病院に連れていくには、やはり、もう一人、助手席でベリーをなだめる役が必要なのだ。前回もお伝えしたが、なにせ、我が家の駄犬ベリーは世間に疎いため、車に乗るにも大騒ぎする始末なのだ。子供はわざわざ30分かけて車で駆けつけてくれた。

ベリーは家に戻ってしばらくはぐったりしていた。おもちゃをやっても反応なしだった。しかし、夕方にはすっかり元気を取り戻した。仕事から帰ってきたえびおばさんもホッとした様子だった。7月の3連休の最終日は、こんなことで、大騒ぎ、てんやわんやだった。

えびおばさんは、元気になったベリーにお小言を垂れていた。「あなたが、何でも口にするからこんなことになるのでしょう。いつも言ってるじゃないの!」

ベリーは、お小言を理解したのだろうか。お小言に対してベリーが、次のように反論したかどうかは、さだかではない。「そう言われましても、好奇心あふれる行動を取るのが犬の本能でして、私はそれを遂行したに過ぎません。だいたい、私は箱に書いてある人間の文字が読めません。これからは、犬語で書いて欲しいものです。」

それにしても、えびおばさんは、本当にベリーに向かって言っていたのだろうか。おそらく、ベリーへのお小言というスタイルをとりつつも、実のところは、このえびおじさんに言ったのだろう。

なにせ、バッグのチャックをいつもだらしなく開けっ放しにしているえびおじさんである。えびおばさんに怒られてばかりいるのだ。さらに言えば、鎮痛剤に頼って歯医者をさぼっている。元をただせば、原因はすべてえびおじさんにあるのだ。えびおばさんの視線が強烈だ。ごめんね、ベリー!

(文:えびおじさん)

大変な一日だったワン!

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