活車えび宇検養殖株式会社

宇検だより

断食(だんじき)ごっこ

2019-03-19

数年ぶりに風邪を引いた。理由は分かっている。年がいもなく薄着で過ごしたからである。これまでだったら、すぐにも医者に行って、大事にならないように備えるところだが、今回は違った。自力で治そうと思った。症状が軽かったからでもあるが、もうひとつの大きな理由がある。それは、どこかにいってしまったが、ある新聞記事に触発されたからである。それにはこう書かれていた。「野生の動物は、断食して病気や怪我を治す」と。

なんでも、断食すると細胞が活性化して老廃物を排出し病気の回復が早くなる、野生の動物たちは、本能か経験でか、そのことをよく分かっているらしい。

よし、野生ではないが自分も同じく動物だ、うまく当てはまるのではと思った次第である。

「自力で治す?」と、断食に懐疑的なえびおばさん(妻)を尻目にそそくさと布団に潜り込み、ひたすら快癒を祈った。しかし、熱は上がるは、鼻水はジュルジュルで、夢うつつの状態をひたすらさまよい続けた。使ったティッシュは一箱に及んだ。およそ1日のあいだに、飲み食いしたものは、お茶と素うどん2杯。さすがに何も食べないと食切れをきたしてしまう体質なので、これはしようがない。

薬を服(の)んだほうが良かったかなあ、という気持ちも少しばかり生じたが「自分は動物である」と自らに言い聞かせて、およそ1日。なんと、熱が下がり始めた。鼻水も出なくなった。自分なりの断食ではあったが、それなりに成果があったようだ。

ところが、である。明日から仕事に行けるなあ、と思いつつテレビを眺めていたところ、突然、左の耳が痛くなった。どうも、鼻をかみ過ぎて耳に影響が出てきたらしい。鼻と耳はつながっていると、あらためて納得である。耳鼻科に赴き診てもらったところ、大したことではなかったが、結局、病院との縁はつながっていたということである。「最初から病院に行って注射と薬で治せば良かったのに」という皮肉めいた言葉が、今回はえびおばさんの口から出なかったのは不思議だった。「挑戦」の気持ちを理解してくれたのだろう。

今回のことから、自分なりにいくつか教訓があった。まず、鼻は左右で交互にかむこと。「断食の効用」ではないが、ふだんから、食べ過ぎないこと。八分目どころか、自分は腹六分目がふさわしい年齢だと悟ること。一日3食にこだわらず腹がすいたときに食べればよい、室町時代頃までは日本人は2食だったはず。いわば、長年の食のマニュアルからの脱却である。

(文:えびおじさん)

野生のヤギ ( 宇検村・屋鈍集落 やどん )

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