活車えび宇検養殖株式会社

宇検だより

フィンガーライム

2018-10-17

 

「恋人に会いたい一心の1年間だった」と言えば少し大げさになるが、このほどようやくフィンガーライムにお目にかかることができた。

ふり返れば、宇検村・阿室(あむろ)地区の「スミューファーム」におじゃましたのが去年の今ごろだった。うわさのフィンガーライムがお目当てだったのだが、タッチの差で収穫は終わっていた。農園の持ち主の後藤恭子さんから、フィンガーライムの木や、実の写真を見せてもらった。しかし、それで気持ちが収まるわけもなく「会いたい、見たい」の長い恋愛期間だった。

台風24号が奄美にやって来る直前に訪問した。収穫の最後の段階という。フィンガーライムの実を見せてもらった。なるほど、まさしくフィンガーである。人間の指のようだ。後藤さんの話では、今年も花や実の付きはとても良かったそうだ。しかし、いくつかの台風の通過で風による傷みが出て、思うような結果につながらなかったという。本来はオーストラリアの乾燥地帯の柑橘である。多雨で台風もやって来る奄美では何かと苦労が多いのだろう。それでも、全国の顧客に送って大いに喜ばれたそうである。

後藤さんのご好意で、貴重な1個をいただいた。包み込むように懐に抱くようにして持ち帰った。

茶色の実を折ると、中身は「緑」だった。後藤さんによると、フィンガーライムは木の種類が多く、「緑」のほかに「赤」「真っ赤な赤」「ピンク」「紫」「ピンクと緑の混ざったもの」などさまざまな色があるそうだ。まるで「森の宝石」の風情である。

緑色の透明な粒を口に入れる。プチプチの食感。そして柑橘系の香りと酸味。三拍子揃っておりポップなリズム感がある。珍しい食べ物に強い興味を示す知り合いの女性がいる。・・・半分あげた。知り合いは、バニラアイスクリームにトッピングしたという。アイスクリームのトロ~リとフィンガーライムのプチプチのリズムを楽しんだそうだ。探究心の固まりのようなこの知り合いは、白和えのような「和」の食べ物の上に添えるのも楽しいでは、と言う。それを試すのは、また、来年である。

ちなみに後藤さんの推奨する「和」は、寿司ネタとしてのフィンガーライムである。また、おもしろい味わい方としては生ガキとの組み合わせ、カクテルに載せて味わうなど、多彩を極めるという。

フィンガーライムに魅せられた後藤さんは、もともとは学校の先生である。東京農大を卒業して阿室中学校で教鞭をとっていた。退職後も、ここに住み続けている。奄美大島のこの地域が熱帯果樹の栽培に適しているからだ。住み始めて13年になる。フィンガーライムを中心に熱帯の果樹を植え続けている。壮大な果樹園を目指している。

熱帯果樹に限らない。「ボタンボウフウ」や「島にんにく」を原料にしての6次産品化にも熱心、ということは以前にも書いた。後藤さんは、このたび、自前の加工工場を作ることにした。現在、建設中である。どんな商品ができるか、大いに楽しみだ。どこまでも、行動的で好奇心に富む後藤恭子さんである。(文:えびおじさん)

(注)スミューファーム。

後藤さんの経営する農園の名称。「スミューファーム」の「スミュー」とは、「パンダ鴨」のあだ名もある「ミコアイサ」の英語名。「smew」。

 

フィンガーライム

中身は緑色だった

建設中の加工工場と、後藤さん

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