活車えび宇検養殖株式会社

宇検だより

フィンガーライム & やどんカフェ

2018-05-01

 

 

 

 

ニンニク 三つ編み人形

宇検村の中心部にある「うけん市場」。ここは、村内で採れた野菜や果物、魚介類が持ち込まれる。市場内はいつも品物が満載だ。棚の上には夜光貝(やこうがい)の細工物も飾られている。

私の好きなタンカンは、残念ながらもう時期を過ぎてしまった。自身の反省では「まだまだたくさん食べたかった」である。なにしろ、奄美のタンカンは、安くて、じつにうまい。日照時間が長いということもあるのだろう。タンカンに限らず、奄美は多くのフルーツが豊かである。ここはフルーツの島だ。次は、ビワとパッションフルーツが登場するはずだ。そしてまた、うけん市場は村民の社交の場でもある。村の老若男女がしょっちゅう出入りしており、終日、ここにいれば、かなりの数の村民に挨拶できそうだ。

ニンニクの季節なのだろう。まるっこいニンニクが並んでいる。宇検村の南部地区はニンニクの産地としても名を馳(は)せている。この地の在来種で、小粒ながら香りが強い。そのニンニクの様(さま)が面白い。長い葉の部分が数本ずつ三つ編み状に束ねられて、いかにも可愛らしいのだ。ひょっこりひょうたん島(懐かしい)か、ムーミン(こちらも懐かしい)に登場する人形にも見える。ふつうの何気ない農産物が、工夫を加えることで飾り物にもなる。これも六次産品化というのだろう。私は、これを魔除け代わりに部屋に飾っている。

このようなアイデアを思いつく人は一体誰だろうと思ったら、出展者は、やはりあの人だった。昨秋、この欄で紹介した、フィンガーライムの後藤恭子さんだ。

そう言えば、後藤さんにこのところ会っていない。フィンガーライムはどうなっているのだろう。例年ならば10月の収穫なので、今頃は、花が咲いているか、小さな実をつけていることだろう。

フィンガーライムが、気になる。とても気になる  ♪ 前回は、見たことも食べたこともないフィンガーライムを、写真と後藤さんから聞いた話だけで書いてしまった。しかし、これは、取材者としては、まったくの落ち度である。実際に食べてみて初めて、文章に実感が伴うというものだ。何としても、今年は舌の上でその粒々を潰してみたいものだ。現に「珍しい食べ物獲得」に恐るべきエネルギーを発揮する私の友人からも強いリクエストが届いている。

前回も紹介したが、後藤さんは、昨年秋、第56回農林水産祭むらづくり部門で天皇杯・農林水産大臣賞を受賞した阿室(あむろ)校区活性対策委員会の会長である。自らの農業と村づくり活動の二足の草鞋(わらじ)だ。大忙しだ。

春爛漫。訪れたその日も、後藤さんは元気に畑や果樹園を駆けめぐっていた。フィンガーライムは、まだほんの赤ちゃんだ。後藤さんの手のひらで可愛く遊んでいる。これが半年後には人間の指の大きさほどに生長する。そして、私の舌を満足させることになるはずだ!オーストラリア原産のフィンガーライムは寒さや風に弱い。奄美は寒さの心配はないが、気がかりは台風である。数個の台風は覚悟せねばなるまい。フィンガーライムよ、風に負けないで、大きく育ってくれ。

 

 

 

 

後藤さんのニンニク畑

 

 

 

 

フィンガーライムの手入れをする後藤さん

 

 

 

 

まだ赤ちゃんのようなフィンガーライム

 

 

 

 

屋鈍(やどん)の海岸

後藤さんの住む阿室(あむろ)集落のすぐ隣の屋鈍(やどん)集落に、このほど、一軒の喫茶店がオープンした。その名も「海の見える喫茶店 やどんカフェ いちのいち」である。「いちのいち」は、番地の1の1のこと。つまり、1丁目1番地。集落の中心地だ。

屋鈍集落は、焼内湾(やけうち わん)のすぐ入口に位置し、湾の外側には東シナ海が広がっている。屋鈍の海岸は、うたい文句に違(たが)わず、エメラルドグリーンの海だ。美しさはエーゲ海に匹敵するだろう!

店主は吉田清美さん。吉田さんも、後藤さん同様にIターン組だ。東京から、北海道、軽井沢を経てやって来た。阿室校区・山村留学生の、都会からの第1号でもある。家族で移住してきて5年経ち、すっかり屋鈍に馴染んだ。今では、活性化委員会の活動の一翼を担っている。

お店は、取れたての刺身を食べられるほか、都会ではまずお目にかかれない、ハリセンボンの唐揚げ、イノシシのカレーなどもある。

「やどんカフェ いちのいち」のシンボルは、なぜか大きな地鶏(じどり 自撮りではない)だ。名前は「大王 だいおう」、4歳・オスだ。大王くんは、迫力のある姿・大きさ・色合いながら、おとなしい性質だ。人をつつくこともない。近所のおばあさんの良き話し相手(?)でもある。

アルコールも提供してくれる。今日は車を運転しての訪問だったが、今度は、ハンドルキーパーと一緒におじゃましよう。初夏の夕暮れの風に当たりながらテラスで飲むビールは格別だろう。エーゲ海も顔負けだ。そして、秋になったら、フィンガーライムのカクテルで、ここで星を眺めよう。

吉田さんは、宇検の良さを、自然の素晴らしさももちろんだが、地域全体が家族の役割を果たしていてとても住みやすい、と語る。

後藤さんや吉田さんたちの活動は、以前にもまして、一段と加速している。フィンガーライムの全国有数の産地化への挑戦や、たくさんの人が訪れる「やどんカフェいちのいち」の設立がそれを示している。宇検村に、奄美に、改革のウエーブを起こしつつある。  (文:堀之内)

 

 

 

 

 

やどんカフェ  いちのいち

 

 

 

 

後藤さんと吉田さん

 

 

 

 

吉田さんの長男(勝美くん  まさみ君)と大王

 

 

 

 

近所のおばあさんがやってきた

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